土壌微生物資材の現状と展望-表示と施用効果について-

摘要

営農現場で利用される土壌微生物資材は, 農薬取締法が適用される微生物農薬，地力増進法の政令指定土壌改良資材（VA菌根菌資 材)，そしてこれらの法的規制微生物資材以 外の多様な市販微生物資材に大別できる。微生物を利用するためには，まず環境中か ら目的とする微生物を分離する必要がある。 土壌中には多種多様な微生物が生存する。肥 沃な農耕地土壌lg.指先程度の量に含まれ る微生物数は地球総人口よりも多い（10の9 乗から10乗)。しかしこの中の目的とする微 生物の生息数はごくわずかである。微生物の 分離操作は，入浜式あるいは流下式塩田によ り濃縮した海水を煮詰めていく伝統的製塩の イメージに近い。すなわち，目的とする微生 物（群）を集積してから，選択培地により分 離する，集積培養法と選択培地法の組み合わ せがよく使われる。目に見える大きさの細菌 細胞の塊（コロニー）を寒天培地上に形成さ せて，土の中の微生物の計数や分離を行う培 養法は，有用微生物を探索し，利用する基本 手順である。