農業環境技術研究所の放射能汚染に関する調査、研究の取組

摘要

農業環境技術研究所（以下農環研）では，1957年から「放射能調査研究费」により，核 実験や核施設の事故に伴い放出された放射性 物質のうち土壌および作物のCs-137や Sr-90を中心とする放射性物質のモニタリン グ調査や動態把握研究などを行ってきた。ま た，1986年のチェルノブイリ原発事故および 1999年のJCO事故，さらには2006年と2009 年の北朝鮮における核実験の際には緊急調査 として，放射性物質の土壌および農作物への 影響評価を行った。2011年3月11日の東北関東大震災に伴い福 島第一原発において炉心溶融事故が発生し， 多量の放射性物質が外部環境に放出され，福 島県を中心とし日本の広範囲の土壌や農作物 が放射性物質に汚染された。放出された放射 性物質の量は原子力安全、保安院の6月6日 の発表によれば77万TBqであり，チヱルノ ブイリ原発事故時の約15%に相当し，国際原 子力事故評価尺度（INES)でレベル7の深刻 な事故である。これまでに厚生労働省などが 定めた放射性物質の暫定規制値を上回った農 作物は，北は岩手県北部の牧草から，西は静 岡県の茶葉まで広い範囲に及び，7月20日現 在でも，断続的に規制値を上回る農作物が検 出され，出荷规制が行われている。