日本の農村と社会的企業 －地域の多様なニーズに応える社会的事業体－

摘要

社会的企業という経営体に，いま欧米のみならず，末展開の日本においてもその重要性を見据えて各方面から大きな注目が集まっている。 注1）1990年代以降，ヨーロッパで急速に台頭してきた社会的企業は，雇用，福祉，環境，教育などさまざまな分野で活躍を続けている。 例えば，イタリアでは，同国の社会的企業の典型的な姿である社会的協同組合が1991年に法律によって定義されている。 イギリスでは2001年に貿易産業省（DTI）の中に「社会的企業局」が設置され，2005年には社会的企業のための法人格として，あらたに「コミュニティ利益会社（CIC）」が定められた。 また，環境、食料、農村問題省（DEFRA）も，農村再生や地域環境問題に対処する上で社会的企業の働きが重要性をもつとの考えから，これを大きく支援する政策を打ち出している。