ブラジルの農業政策の現状ーテメル前政権の回顧とボルソナ 一口新政権の展望一

摘要

ブラジルは，古くから，ラテンアメリカ地 域における伝統的な一次産品である砂糖や コーヒーの一大供給国として知られている 力^近年はトウモロコシゃ大豆の穀物.油糧 種子のほか，牛肉や鶏肉などの非伝統的農産 物においても世界有数の供給国へと変貌を遂 げており，世界の食料需給動向を左右する国となった。その端的な例としては，2018年に 本格化した米中貿易摩擦において，アメリカ 産大豆に対する中国の追加開税措置を契機 に，ブラジル産の大豆に対する世界の関心が 俄かに高まったことが挙げられる。それは，世界の大豆需給動向において，ブラジルは， 生産および輸出のいずれもァメリカに比肩する有数の国であり，世界最大の大豆輸入国である中国のァメリ力産大豆に対する需要を代替できる数少ない国の一つと考えられているからである。