農産物直売所におけるコミュニケーション活動とマーケティング効果

摘要

地産地消による地域農業の活性化や農業所得の向上を目的とした農産物直売所（以下「直売所」）が全国各地に展開している．正確な統計データはないが，農林水産省等の調査によると，市町村や農協等が設置している常設の直売所だけでも全国に約3千箇所あり，その年間総販売額は2千億円を超すと推計されている．しかし，これまで順調に増加してきた直売所も，地域によっては直売所同士の競合が見られたり，地元農産物の販売に力を入れるスーパーマーケット等との競争が激化するケースも発生している．このため直売所の中には，新鮮で値頃感のある農産物を販売するだけでなく，直売所利用者との間のコミュニケーション活動を強化し，リピーターの確保や新規利用客の開拓を図ろうとする動きが出てきている．