内モンゴルにおける小規模酪農家の経営実態とメラミン事件の影響一フフホ卜市近郊の事例から一

摘要

中国では，かってモンゴルやチベット等少数民族 を除いて，牛乳、乳製品を消費する食習慣はなかつ た.そのため，牛乳、乳製品は都市部では乳幼児，— 老人，病人の栄養食品としてのみ扱われ，農村部で の消費はほとhどなかった（小宮 杜根[1]). しかし，1990年代以降，急速な経済発展にともな い食生活が大きく変化し，.牛乳、乳製品は都市部住 民や富裕層だけでなく，一般庶民や農村住民にも広 まり，人々の日常的な食品として位置付けられるよ うになり，消費量が大幅に増加してきた.1980年 に1人当たり牛乳生費量がわずか1.2 kgであつた が，2008年に26.8 kgとなり，22倍も増加した 牛乳生産量が急速に増加した主な要因は内モンゴ ル自治区（以下，内モンゴル）の酪農の急増である. 牛乳生産量は1990年代までに黒龍江省が1位を占 めていたが，2000年代に入ってから急成長を続け る内モンゴルが黒龍江省のそれを上回り（2003), 中国最大の酪農、乳業地域へと発展した.