農業専従者の存在形態と雇用労働力

摘要

我が国の農業労働力は、戦後農業の中心的な担い手であった「昭和一ケタ世代」が70歳代となったことから、著しく減少すると予測されている。新規に自営農業に就業する者の大半は定年者の多い50、60歳代が占める一方、39歳以下は1割程度にしか過ぎない。しかし、長期的に農業を維持していくためには、若い労働力が不可欠であり、これらの者をいかに確保するかが重要となっている。本稿では、2005年農業センサスの分析から、農業専従者の、軌向を概観するとともに、どのような農家に若年層が存在するかについて明らかにしたい。さらには、家族農業労働力が弱体化する中で増加傾向にある雇用農業労働力（特に常雇）についても、若年の農業専従者の存在形態を踏まえつつ、その動向を示したい。