10mメッシュ土地利用図を用いた集落景観の指標化ー景観指標による戦後の土地利用変化の特性の分析ー

摘要

1990年代以降，OECDは農業環境指標の策定に向けた検討を進めている。 この中で，景観指標について議論がなされ，参加国によって様々な視点から景観指標の概念が提示された。しかし，現在までに国際的なコンセンサスを確立するには至っていない。 これは，景観の持つ概念の幅広さ，指標としての定量化の難しさによるものと考えられる。 景観を指標化するためには，景観がもつ概念を，客観的かつ定量的に把握しうる複数の要素に分解し，体系的に整理する必要がある。 景観の定量的把握に関する研究としては，坂本エコ）が，地形，農業類型に基づく景観指標を明らかにした。このほか，環境保全機能に着目した研究として，農村の緑地配置の変容解析や景観構造の把握等が行われている。 これらの研究は、景観に対するアプローチの手法は異なるものの，いずれもメッシュ法を用いている。 メッシュ法は，質の異なる情報を総合的かつ定量的に分析するために有効な手法であり，景観指標への適用も妥当と考えられる。