亜硝酸還元能の高い新規な菌の単離とその導入による ルーメン内における亜硝酸還元の増強

摘要

イヌの糞便から亜一硝酸還元菌を単離し一た。 そのうら，亜硝酸還元能が最も高かっ一たのはC鉱油髄払鼎属とこ推定される菌であつた。 本菌は，通常ルーメンバクテリアを培養する時に用いる培地で増殖でき一た。 本菌はセルロースを利用できなかったが，デンプンや種々の糖類を利用できたので，反嶺動物に粗飼料を給与した場合よりも濃厚飼料を給与ーた場合の方が，ルーメン内で増殖し易いと思われる。 本菌は硝酸還元および亜硝酸還元と共役し一た電子伝達リン酸化によ．るATP生成を行わないと推察され一た°本菌の亜硝酸還元酵素（NiR）は細胞質に局在ー，フェレドキシンを電子供与体とーて亜禰酸を還元すると推測された。 NiR活性は，アンモーニアによ．りアロステリックに阻害された。 また，亜硝酸の存在下で培養するとNiRの合成が促進されると考えられ一た．。 これらの特性は，亜硝酸還元ルーメン菌のNiRの特性とは異なっていた。 亜硝酸を添加した混合ルーメン微生物培養系に，本菌を総菌数の約0．5％となるように添加したところ，亜硝酸還元速度が増加し一た。 その結果，亜硝酸による発酵一およびセルロース消化の抑制が軽減され，メタン生成が抑制された。 従って，硝酸塩含量の高い飼料または硝酸塩を添加した飼料と共にプロパイオテイクスとして本単離菌を投与することによ．り，発酵や繊維消化の抑制を招かないでメタン生成を抑制できる可能性がある。