繁殖成績向上のために獣医師は何ができるか

摘要

高泌乳牛群では分娩後の受胎が順調にいくか，更新率を上げるかしていかないと高乳量の維持は難しい。 経産牛年間1頭当たり出荷乳量（RHA）が1万kgを超えてくると，ピーク乳量が日量50kg以上泌乳する牛は珍しくなくなる。 このピーク泌乳時に栄養の充足が不十分だと受胎が遅れる原因になる。 受胎が遅れることは，泌乳後半が延長し過肥になりやすく，次産の代謝病につながる。 しかし，分娩前後の疾病などに比べて，繁殖成績の低下（分娩後の受胎の遅れ），それによる損失は意識しづらい。 また，繁殖成績が低下している時期は牛群として牛乳生産量が向上している時期に当たる場合が多い。そのため，繁殖成績の低下をよりいっそう意識しづらくしている。 また，繁殖成績は捕らえ方が複雑で，低下，向上を明確にしていくことが難しい。 このレポートでは，私達が関わりあつている高産乳牛群の繁殖成績を向上させるために獣医師として何ができるかを考えてみたい。