牛の頭部疾患に対する画像診断法の研究　--要約--

摘要

臨床現場における牛の頭部疾患はウイルス感染に起因した脳疾患の周期的発生など，その診断機会は比較的多い。 しかしこれら疾患に対しては臨床症状や発生経過などを基とした主観的な診断が臨床現場で行われているのが実情であり，病理検査により確定診断を行う場合も少なくない。しかし平成10年の「家畜伝染病予防法」の改正により生前診断の重要性は高くなっている。 このことから牛の頭部疾患の診断法では従来の主観的診断と同時に客観的診断（各種検査法で得られたデータを基に疾患を証明）の必要性が増している。 牛の頭部疾患の客観的な診断法としては，その多くがウイルス感染性要因によるものであることから，単純に脳が存在するか否か，または形態的に正常か否かを証明することが重要である。 本研究ではその形態的観察に有用な方．法としてmagnetic resonance imaging （MRI）装置（日立MRP-20，0.2T）およびエコー装置（ALOKA，SSD220）を用い，牛の頭部疾患に対する画像診断法の臨床応用の検討を行った。