炭水化物給与とルーメンアシドーシスについて

摘要

泌乳量の増加に伴って，飼料中のエネルギー要求量が高くなり，濃厚飼料の量が増え，粗飼料の給与量が低下してきている。 その結果，炭水化物の発酵による低級脂肪酸や乳酸の生成，有効繊維不足による反賽回数の減少によりルーメンpHが低下し，潜在性ルーメンアシドーシスが増加している。 ルーメンアシドーシスは乳量の低下，食欲不振，蹄葉炎などの問題を引き起こす。 高泌乳牛群においては，常に潜在性ルーメンアシドーシスを発症する危険性にさらされており，潜在性アシドーシスの予防および診断においては，ルーメン穿刺によるルーメン液を採取しpHを測ることも提唱されている。 今回は飼料中に乾物で65％以上も含まれ，ルーメン内で発酵により酸を生成し，ァシドーシスの原因ともなる炭水化物の給与とルーメンアシドーシスの関関係について考えてみたい。