牛の海綿状脳症およびカナダ産牛乳の安全性

摘要

牛の海綿状脳症（BSE）や人の新しい変異型クロイツフェルトーヤコブ病（VCJD）は，反袈動物由来組織を別の反袈動物に食べさせることや，感染牛の移動，感染牛由来製品の移動によって，世界中に広がっている。英国でのBSE発生によって，動物由来の乳製品などが，人の健康に危険かどうかという疑問が生じている。 牛については，人の食物連鎖に組み込まれており，脳，脊髄，特定臓器などの危険部位が規制されている。 カナダでは，2003年に最初のBSE陽性牛が認められて以来，国内肉牛のプリオン病について消費者の認識が深まった。 BSEと人の健康の安全性に関する研究の焦点は，牛肉に中心が置かれている。 しかし，カナダに輸入した1頭のBSE感染乳牛とカナダ国内産のBSE感染乳牛2頭の発見によって，北アメリカにおける牛乳と乳製品に対する消費者の関心が増大してきた。 英国政府は，BSE感染牛からの牛乳を人に提供しないよう強く勧告している。