雄牛の精巣の血流動態における 品種の影響

摘要

本論文は，カラ一ドプラ法を用いて雄牛の精 巣の評価を行った結果，気候よりも品種による 影響が大きく，血管抵抗指数は雄牛の繁殖性の 評価として有用となる可能性を示した論文であ る。超音波画像診断法は,安全で非侵襲的な技術であり， 内部構造の最新の画像を提供できる。産業動物の繁殖分野において，生殖器の超音波検査は，最近の30年間 で日常的に行われる検査となった。加えて.獣医領域 における超音波検査の利用の約25%は繁殖分野で用 いられ，特に雌動物の繁殖期によく用いられている。 最近.カラードプラ法による生殖器官への血流動態を 評価するため，特徴が異なる方法が紹介されている。 ドプラ法は雌牛の発情周期や繁殖状況の変化を評価す るために用いられている力5,雄牛に対してはあまり用 いられていない。ヒトの医療では，精巣の変質，精巣 捻転，無精子症などの際に血流動態が評価されている。 精子形成は精巣内の生理的変化に依存する。特に温 度は体温より2-6°C低く維持されている。精巣にお ける温度調節では，精巣挙筋によつて血流動態が維持 されている。陰囊肉様膜をはじめ，精巣を覆う皮膚の 汗腺と皮下脂肪は，精巣の温度調節に深く関わる。