乳牛はスプリンクラーよりも日陰を好む：行動や生理に与える影響

摘要

暑熱環境は，乳牛の行動や生理に影 響を与える。熱負荷は，気温や相対湿 度，直射日光，風の流れなどであり， 体温や呼吸数が増加し，その結果摂取 量が低下し，泌乳ゃ増体量が低下する。 また受胎率の低下など繁殖成績に負の 影響を与え，極端な例では死に至る場 合もある。乳牛は暑熱下では積極的に日陰を好 み，熱負荷増加の影響を低減している。 また，シャワーは日陰より熱負荷を低 減し，呼吸数や体温を下げる。乳牛の膣温は搾乳中や搾乳後に高く なめ，また草地からパーラーまでの歩 行距離と関連する（ニュージーランド[NZ]の大型酪農では平均2 kmの歩 行）。パーラー待機場での日陰ゃスプ リンクラーは熱負荷の低減となり，搾 乳後4時間でも，体温低減効果がある。 NZの酪農家では，40%がスプリンク ラーを利用し，熱負荷低減以外の利点 として，体表へのハエの付着が減少し， 牛の虫除け行動が減少している。しか し，牛が自主的にスプリンクラーを利 用しているかは不明で，嫌がるとする 報告（浴びるとき頭を下げ，利用を避 ける）もあり，寒い日の冷水利用では 体温が低下する。