アイブロシン~(R)プラスの豚の慢性型増殖性腸炎に対する有効性および安全性

摘要

近年，養豚業界では豚の消化器障害による被害が報告され，特にLawsonia intrqcellularis（以下，ローソニア）による増殖性腸炎が問題視されてきている。我が国におけるローソニアの疫学調査として，矢原の報告によれば，2000年から2003年の間に国内で378農場から採材して間接蛍光抗体法（IFA）により検査したところ，ローソニアに対する抗体は95.8％の農場で認められている。年次別でみると，陽性率は年々上昇する傾向があり，ここ数年間においても日本におけるローソニアの浸潤度が上昇していると考えられている。また，産次数が進むほど陽性率が上昇する傾向もあり，母豚では80％以上と高く，子豚も移行抗体が消失する60日齢以降に感染が拡大する傾向があるとされている。臨床的には急性型の増殖性出血性腸炎となる症例はまれで，大半は慢性的に進行する増殖性腸炎であり，これによって発育不良がもたらされ，生産性に悪影響を及ぼすことが報告されている。