豚肥育農場における呼吸器疾病対策ワクチンプログラムの検討

摘要

近年豚の呼吸器病として，豚呼吸器疾病症候群（PRDC）が問題になっている。単一の病原体感染では，無症状で軽度病変ですむものが，PRDCにおいては複数の病原体に感染することにより，症状が重篤で急性の病態をとる。PRDCに関与する病原体は，従来からある流行性肺炎の原因であるPasturella multocida，マイコプラズマをはじめ，豚繁殖呼吸障害症候群（PRRS）ウイルス，豚サーコウイルス2型（PCV2），豚インフルエンザウイルスなどが挙げられる。これら病原体の感染と豚側の要因（豚の感受性，免疫能力，移行抗体の有無など），環境の影響（換気，群編成，栄養状態など）が相互に関連して発症に至る（図－1）。