山岳地におけるミズナラ及びコナラの遺伝構造に関する研究

摘要

森林伐採や気候変動等によつて世界規模で森林の生 物多様性が脅かされている。この中で，特に山岳地に おける森林植物の保全は喫緊の課題となっており，こ れらの種の維持及び進化の原動力にもなる遣伝的変異 の保全についても，.その重要性力認知されつつある。遺伝的変異は「集団内遺伝的変異」及び「集団間遺 伝的変異」に大きく二分され，後者は「集団内遺伝的 組成Jの差異を意味する。中立な遺伝子座では，.これ らの遺伝的変異に景遷を及ぼす的な要因として，. 突然変異，遺伝子流動(移住）及び遺伝的浮動等が知 られており，これらも気候等の無機的因子及び種間競争等の有機的因子によって左右される。ここで，過 去に遺伝子流動や遺伝的浮動等に景遷を与え，現在もその力3遺伝的変異に反映されている場合に，その 因子を「歴史的因子」とし，それ以を「生態学的因 子」と定義したい。