スギ在来品種「シャ力イン」のクローン特性の解明と クローン管理への応用

摘要

九州地方では古くからスギのさし木林業が営まれて いる。各地に存在する在来品種は，江戸時代以前に1 本の母樹から記念樹的に神社や寺院に植栽され，その 後品種として成立したものと，江戸時代以降，当時盛 hに行われた実生造林地から選抜され，その後さし木品種として成立したものの2つの成立過程が存在する とされる。熊本県においてさし木林業は，江戸時代中期宝暦年間（1750年代）に阿蘇郡小国町周辺で始まったとさ れる。近年まで成木から穂木を取って山野にさし付 ける直（じか）ざし造林であったが，現在は，苗畑で さし木を行い，育苗した苗を植えつけるのが—般的で ある。2006年度，熊本県では，育苗された在来品種 による造林が，スギ造林全体の約82%を占めている。