牛乳房炎起因菌の迅速、簡易同定における酵素基質培地の有用性

摘要

乳牛の乳房炎起因菌の分離培養法として，ヒトの泌尿器疾患で用いられている酵素基質培地を用い，迅速かつ簡便に結果が得られる検査法の確立を試みた。 この検査法は，細菌が発育増殖する過程において培地に含まれた色素が組み込まれた酵素基質を菌体内に取り込み利用する結果，発育したコロニーが発色することを利用した方法である。 酵素基質培地で24時間培養した後，コロニーの色や大きさによって菌を判定し，必要に応じて各種性状検査を併用して判定する。臨床型乳房炎の乳汁について，従来法と酵素基質培地を用いた本法により菌分離を行って比較検討したところ，すべて一致する成績が得られた。 これらのことから，本酵素基質培地法は乳房炎起因菌の培養検査法として，迅速、簡便化が図れる方法であることが認められた。