黄体の寿命: －動物種によって異なる黄体退行のメカニズム－

摘要

妊娠が成立しなかった際に発情を回帰させ，周期的に排卵を起こさせるメカニズムは，稗を維持していくために哺乳動物が良い進化の過程で獲得してきた生殖戦略の一つと言える。規則的に排卵の起こるメカニズムは動物種によって異なっているが，基本的には黄体退行が次の発情朋期へ移行するための原点と言える。 自然排卵動物は，ヒトや家畜のように3～4週間の長い排卵周期を持つ動物と，ラットのように4、5口の短い排卵周期を持つ動物とに二分される。このような排卵周期の長短は，前者では排卵後に黄体ホルモン（プロジュステロン）を分泌する黄体が形成されるのに対し，後者では，黄体から分泌されるはずの黄体ホルモンが，合成後ただちに黄体内で生理作用をもたない物質に代謝されてしまうことによる。 前者，いわゆる「完全性周期動物」でプロジエステロンが活発に分泌されている時期を黄体期といい，ほとhどすべての家畜で約2週間と一定している。