獣医領域における ファージセラピーの可能性

摘要

薬剤耐性菌の問題は世界的な問題となっており，米国でも人や動物への抗生剤の利用が増える一方で，耐性菌による死者が年間2万人を超えており，抗生剤利用について再考が促されている。現状の 獣医療において，細菌性感染症に対する治療は抗生剤に頼っている。その使用は規制により制限され， またモニタリングにより耐性菌の出現はコントロールされている力人抗生剤に頼らない新たな治療技 術が望まれている。そこで我々は，細菌特異的に感染し溶菌するパクテリオファージウィルス（ファー ジ）を用い，実用化に向けた検討を始めている。本稿では，ゥマの細菌性角膜炎に対するファージセ ラピーの検討につレゝて論文報告したデータをもとに解説する。