周産期病に関する論文の総括、コメント

摘要

この企画は，わが国畜産の生産性向上と，規模拡大の中で獣医療に，疾病の発生前の段階で管理への指導を加味した家畜群への体制を図るように与えられた命題である。 1968年11月17日～19日，イリノイ大学で乳牛における分娩性麻痺”parturient Paresis in Dairy Animals"のカンファレンスが行われた。 そのプロシーデイングが分娩性低カルシウム血痕“parturient Hypocalcewia”として1970年に発刊された。 このカンファレンスの関係者の中に日本人として唯一参加されていた故東大名誉教授臼井和哉氏の名前がある。 その中心的役割を果たしたJ.M．Payneのエネルギッシュなコンプトン代謝プロファイルテスト（M.P.T）が容認されたのはそれから間もなくであった。 分娩をはさhで牛群の健康管理を考える道筋を納得させる手法として出現した獣医療を暗示したものである。 昭和40年（1965年）から, 東大家畜外科学教室で始めた卒業年次に当たる4年学生のための総仕上げ的臨床実習が，茨城県の東大牧場で，周辺の農業共済連獣医師の協力があって実現した。 病牛に対する血液生化学的検査を加味した精力的な診床主体の実習として，教官、学生と深夜に及ぶハードな実習であった。 そしてこの実習には，他大学の外科学，内科学の教授も必ず参加して頂いた。 岩手大，北大，魔大, 農工大と，年次毎に特徴ある先生がかかわり，特に酪農大の臨床教官とは，肝胆照らす猛烈な輪戦を交わした楽しい思い出も少なくなかった。 この初年度には第四胃変位の手術の成功があり，わが国で初めての手術例として盛り上がった。