乳牛8頭に発生した後肢ナックルの 原因診断と整復適応症例の検討

摘要

乳牛の後肢球節部にナックルの発生を認めた8例に対し，まず神経学的検査や血液生化学検査，下 腿筋の超音波検査を行い，ナックルの原因診断を行った。これらの症例には，いずれも牛用整形外科 副木キット（BOS)を用いて球節部の固定整復を行った。検査結果から，ナックルの原因は脛骨神経麻 痺が2例，総腓骨神経麻痺が1例，坐骨神経麻痺が1例.浅趾屈筋の軽度損傷が3例（1例は総腓骨 神経麻痺を伴う），浅趾屈筋の重度損傷が1例であつた。その結果，脛骨神経麻痺と浅趾屈筋の軽度損傷5例で予後は良好であった。以上から，ナックルに 対しては，神経の麻痺や筋の損傷部位 - 程度を評価した上で整復法の是非を決めることが重要である と考えられた。