野草を中心とした有毒植物による牛の中毒発生状況と診断

摘要

近年，粗飼料の自給率向上の取り組みの一環とし て；遊休山地，耕作放棄地等での放牧や河川敷等で 刈り取った雑草の飼料としての利用が各地で推進さ れている。このような取り組みは，資源の有効利用 の観点から進められている力，安全な畜産物を安定 供給するための基本的資材である飼料については， その安全性を確保する必要がある。飼料の安全性を 確保するため「飼料の安全性確保及び品質の改善に 関する法律」（飼料安全法）が制定され，流通飼料に ついてはこれに基づいたリスク管理措置がとられて いる。自給飼料においても，安全な畜産物の安定供 給，すなわち，飼料に由来する有害物質の家畜への 直接影響と，畜産物への残留を防ぐという飼料安全 法の目的に沿つた対応が必要である。河川敷の刈草 等を飼料として利用する際には，農薬の残留，ゴミ の混入などについて十分留意する必要がある。さら に，遊休山地，耕作放棄地，河川敷等では有毒植物 が繁殖する可能性があり，これを摂取した牛に中毒 を起こすことが危惧される。