採卵養鶏場のサルモネラ汚染実態と有効なサルモネラ汚染低減対策の推定

摘要

サルモネラ食中毒のリスク管理に必要な科学的データの取得を目的に，採卵養鶏場のサルモネラ汚染状況および飼養管理状況を調査した。2017年10月-2019年11月の間に延べ56養鶏場の112鶏群（各養鶏場2 鶏群）カゝら新鮮盲腸便を採取しサルモネラ検査を実施したところ，7養鶏場の9鶏群（8.0%)から分離され た。サルモネラ分離率はサルモネラ不活化ワクチン接種鶏群（5/95， 5.3%)の方が未接種鶏群（4/17, 23.5%)よりも有意に低かった。最もよく接種されていたサルモネラ不活化ワクチンは，Salmonella Enteritidis, S. TyphimuriumおよびS. Infantisを有効成分とする3価混合不活化ワクチンで82鶏群（73.2 %) に接種されていた。3価混合不活化ワクチン接種5鶏群からサルモネラが分離されたものの，4鶏群からは ヮクチン成分に含まれない08群(S. Altona, S. CorvallisまたはS. Albany)または013群（13,23 ： y ：—） であった。残りの1鶏群からは04群（S. Haifa)が分離された。一方，サルモネラ不活化ワクチン未接種4 鶏群からは，07群（S. ThompsonまたはS. Infantis)または018群（S. Cerro)が分離された。以上の結 果から，サルモネラ不活化ワクチンは採卵養鶏場のサルモネラ汚染低減策における有用資材の1つであると 考えられた。