マウスの性行動を制御するぺプチド性フエ□モンESP1の立体構造決定クラスCタイプGPCRによるリガン卜認識糠構の解析

摘要

多くの生物はさまざまな伝達手段を通じてコミュニ ケーシヨンをとりあう.これらの伝達手段のなかでも， 匂いやフェロモンは種と生命の維持に重要な役割を果た している.多くの動物は，同種の個体間において，性的 行動，社会的行動，生理的応答を誘発するフニロモンを 利用し，情報交換を行っている(卜4).たとえば，細菌， 菌類，原生動物，軟体動物，両生類などの水棲生物にお いては，ぺプチドあるいはタンパク質からなる不揮発性 のフェロモンが利用されている(23).これらのフエロモ ンは，水溶性で，水中を拡散して相手に伝えられる.一 方で，進化的に後に現れた陸棲生物においては，離れた 相手と交信するため，空気中を拡散して伝わる揮発性の 低分子化合物からなるフヱロモンが獲得されてきたが， ペプチドフェロモンもまた使われている.ペプチドフエ ロモンを介したコミュニケーションについては，まず揮 発性の低分子化合物によって相手を誘引し，次に接触に よって構造的な多様性に富むぺプチドを受け渡すことで rより多くの情報を伝達するという二段階のコミュニケ一 シヨン方法が用いられていると考えられる(2).このよう に，ペプチドフェロモンは，水棲生物から陸棲生物まで の広い生物種において利用されており，進化的に歴史が 長く，多様性に富hでいる.