プレシジョン栄養学が拓く未来の健康栄養学個人対広型オーダーメイド栄養学を可能にする锢別化技術と提供システム

摘要

すべてのヒトが健康で健やかな加齢，ウェルビーィング， 「幸福度（ハピネス）」を保証する食事や栄養を求められる時 代になってきた.それに答える栄養学が個人対応型栄養学 (個別化栄養学)，またはプレシジョン栄養学である（図1A).最新の技術を使って個人に最適化された個別化された 栄養学である.オーダーメイド（テーラーメイド）栄養学と もいわれてきた.これまで集団を対象とした一般化された (「集団対応型」）食事ガイドラインが策定され，日本では主 に集団に対応した「日本人の食事摂取基準」があるが，ガイ ドラインを個人にあてはめる「(演繹的）ルール指向型」で あった.これらのガイドラインは各国で成功を収めてきた. これはオーダーメィドに比べると，ちょうどone-size-fits-all (フリーサイズ）の栄養学ということもできる（図1).集団 を対象とするガイドラインは，特に栄養素の不足に対応した 「不足の栄養学」の有効な手段であった.しかし「過剰の栄 養学（過剰によって起きる疾患に対応した栄養学)」に時代 が変わってから，集団を対象とした食事ガイドラインの有効 性には疑問が呈されるようになり'"，「日本人の食事摂取基 準」では2015年版で初めて生活習慣病の重症化予防に対応 した状況である.