アルギン酸の構造とRAW264．7細胞に対するTNF－α放出誘導活性の構造活性相関に関する研究

摘要

褐藻類に含まれるアルギン酸はその乾燥重量の約30％を占めており，藻体細胞壁構成多糖あるいは細胞間充填物質として存在し，細胞形態の安定化に関与していると考えられている。 アルギン酸はβ－D－マンヌロン酸（以下Mと表記）とα－L－グルロン酸（以下Gと表記）の2種類のウロン酸から構成されており，これらの単糖がグリコシド結合により種々の割合で結合しており，藻体から得られるアルギン酸は直鎖状のポリウロニド多糖体構造を形成している。 その分子中には，Mが連なったPoly－β－D－mannuronate（PM）部位，Gが連なったPoly－α－L-guluronate（PG）部位，及びMとGが無作為に連なったMGランダム部位が存在し，藻体中には、これら3つのドメインの存在比率が異なる多用な物性を有するアルギン酸が混在しているり。 従って，アルギン酸分子の構造を正確に把握することは大変難しいと言える。