1998年の秋整枝の最適期の検証と，最適秋整枝期の年次変動

摘要

秋整枝の時期の早晩は，萌芽の早晩に対応することが知られている（此本ら1987）．1999年一番茶の減収の原因について此本（1999）は，1998年の秋整枝が気温の推移に比して早かったこと，それに起因する過剰な再萌芽を是正するための再三，再四の整枝が行われ結果的な「最終の秋整枝期」が遅延し，これに対応する形で，1999年の萌芽が遅延したことが原因であることを示唆している．この記事のデータは此本ら（1987）に基づくものと考えられる．これらから，次の結論が導かれる．①翌春の早い萌芽のため秋整枝は再萌芽が問題にならない範囲で出来るだけ早く行う，②秋整枝は，その後の1回の再整枝を前提とすれば，再萌芽率が10～20％の範囲内で収まる期間に行うのが最適である．③秋整枝から11月10日までの積算温度（x）と再萌芽率（y）にはy＝0．072xー24．03という関係がある．では，1999年一番茶の減収の原因となったという早すぎた秋整枝の，本当の適期は実際の所いつ頃であったのであろうか．また，秋整枝の適期には，どの程度の年次変動があるのであろうか．これらの点について検討を試みたので報告する．