カイコを中心とした幼若ホルモン（JH）活性の発現と調節機構研究

摘要

近年の昆虫内分泌の分子生物学研究では，カイコは欧米で用いられるタバコスズメガに並hで永年にわたって供試され　 その成果の蓄積も大きい。 モデル昆虫として知られるショウジョウバエは2001年にゲノム情報データベースが構築、公開されるとともに，人為的な遺伝子のノックアウト，あるいは過剰発現が容易に行えることから，実験昆虫として優位性を保っている。 実際，内分泌研究においてもショウジョウバエでは脱皮ホルモンの分子作用機構が詳細に調べられている。 しかし，幼若ホルモン（JH）の作用機構研究については外部から投与した際の反応性が低いこと等の理由により，必ずしもJH研究の実験昆虫として適しているとはいえない。 最近では甲虫のコクメストモドキもゲノムが解読されRNA干渉法（RNAi）実験の効果が高いので，用いられるようになってきた。ショウジョウバエやコクヌストモドキに比べ，カイコは体サイズも大きく外科的処理や器官どとの遺伝子、タンパク質の分析が可能であり，カイコゲノム情報データベースが充実し，形質転換休作出技術によって目的とするタンパク質を過剰に発現させることも可能となってきた。