乳牛における排卵同期化処置時の安息香酸エストラジオール（EB）投与が発情徴候発現に及ぼす影響

摘要

乳用未経産牛を用いて発情および排卵誘起の目的でPGF2α製剤投与後48時間にGnRH製剤投与と同時にEB′製剤を投与した場合の発情行動発現の有無、発情持続時間、排卵までの時間、卵巣動態および血中E2濃度とP4　濃度の推移をGnRH製剤のみを投与した場合と比較して調べた。その結果、GnRH単独投与（GnRH区）では　発情行動は発現しなかったが、EB併用投与（GnRH＋EB区）では明瞭な発情行動が発現し、発情持続時間は　自然発情の場合と同様であった。この間の血中E2濃度はGnRH区では上昇しなかったが、GnRH＋EB区では　顕著に上昇した。GnRH投与から2日以内に大半のもので排卵し、排卵後の黄体形成には両区間で差はなかっ　たものの、血中P4濃度の増加の程度はGnRH＋EB区でGnRH区に比べて有意（p<0.001）に大きかった。