乳酸菌の抗アレルギー作用と アレルギ一軽減用ペットフード素材としての利用性

摘要

わが国では，少子高齢化を背景として若年層の高齢者 医療費の負担が懸念されるために高齢者自らによる健康 維持に関する意識の向上が望まれ，国策により食の健康 面における重要性が唱えられている《。そのような背景 から乳酸菌は機能性食品の代名詞と言っても過言ではな い状態にあり，経口摂取した乳酸菌が宿主に多くの有益 な作用を生じることは周知のところである2)。総務省統計局が発表した「2008年10月1日現在の推 計人口」によると，0-14歳齢の年少人口は1，717万6 千人であり3)，ぺットフード協会が公表した2008年度に 日本国内でぺットとして飼育されているィヌおよびネコの累計は約2，683万頭である4)。このことは，ペットの 飼育頭数が子供の人口をはるかに凌ぐことを示してい る。このようなペットブームの背景には，日本人の生活 に経済的なゆとりができたことやメディアの影響により 小型犬の愛くるしさに注目が集まりペットに癒しを求め るようになったことが関係しているものと思われる。し かし，最近のペットを取り巻く様々な飼育環境の変化に 基づき，Fig.1に示すように，アレルギー性皮膚炎を患 ぅィヌが小動物診療現場において多く観察されるように なっている5)。そこで本稿では，乳酸菌の抗アレルギー 作用に着目したぺットフードの開発の可能性について考 察する。