合成レチノィド、タミバロテンの臨床展開

摘要

ビタミンA誘導体の総称であるレチノイドは.もとも と，その化学構造から定義された名称であるが，現在, 生物学的には「特異的な受容体を介してレチノイン酸の 特異的な作用を担う化合物」として用いられている. 1980年代後半になって，all-frara-レチノィン酸（ATRA) の生理活性を担うレチノイン酸受容体（RAR, Retinoic acid receptor)が発見され，その後.レチノイドの基礎科 学研究および医薬展開が進展した.RARにはa, p, y の3種のサブタイプが存在し.もう一つのレチノイド受 容体であるレチノィドX受容体（RXR, Retinoid X receptor)とへテロ二量体を形成して，遺伝子の特異的応 答部位に結合し，標的遺伝子の転写を制御している. RXRの内因性リガンドとして9-cな-レチノイン酸が同定 された力く. RXRにはATRAも強く結合し，RXR選択的 な内因性リガンドは知られていない.一方で，RXRは RARだけでなく，ビタミンD3受容体，甲状腺ホルモン ^：谷体，PPAR (Peroxisome proliferator-activated receptorノ, LXR (Liver X receptor;, FXR (Famesoid X receptor;なと 様々な核内受容体とヘテロ 二量体を形成することで，こ れらの機能に深く関わっている.