日本人の成人健常者における口腔粘膜細胞テロメァ長とカロテンまたはa -トコフエロール摂取量との関連は カロテノィド代謝関連遺伝子多型に依存する*

摘要

染色体末端に存在するテロメァは，細胞分裂の際に その長さが短くなることから，ヒトの細胞レベルでの 最も客観的な老化指標とされてきたn.実際，加齢に 伴って末梢白血球テロメァ長が短縮されることがsystematic reviewによつて確認され2),一般的な老化、 健康指標としてテロ メァ長が用いられている.しかしながら.テロ メァ長の測定には比較的大量の 染色体DNAの調製が必要で，放射性同位元素を使用 するなど煩雑な操作が要求されたため，健康科学領域 でテロ メァ長はあまり研究されて来なかった.2002年， Cawthonによりsingleplex quantitative polymerase chain reaction (qPCR)法が開発され，極微量のDNAサンプルで"相対"平均テロメァ長の測定が可能となった3).さhに，Cawthonは」の方'/去をmonochrome multiplex qPCR(MMqPCR)へと改良を重ねた4) 5).ヒトの体細胞 は46個の染色体を持ち，染色体末端に存在するテロメ ァは，5'-TTAGGG-3'の6塩基の繰り返し構造を持つ6). テロメァの繰り返し配列は.アルブミンなどのシングル コピー遺伝子(scg, single-copy gene)と比較してそのコ ピーが多量に存在するため.MMqPCR法はテロ メァの アンプリコンとGC-クランプを用いたscgのアンプリコ ンの融点の違いを利用して，単一のPCRチューブで双 方の増幅曲線のCt (threshold cycle)をそれぞれ測定する ことが可能である.