ビタミンKエポキシド還元酵素の遺伝子多型 ーヮルファリン感受性および血管疾患との関連一

摘要

ビ夕ミンKから生成される還元型ビタミンKは， 前駆体タンパク質のグルタミン酸（Glu)残基からy-力 ルポキシグルタミン酸（Gla)残基への翻訳後修飾の補 因子として作用する（図1).ビタミンKエポキシド還 元酵素（VKOR)は，Gla残基への変換の際に生成した ビタミンKエポキシドを再びビタミンKに還元する 酵素であり，クマリン系の抗凝固薬であるヮルファリ ンの標的分子である.血液凝固因子であるプロトロン ビンや第VI[因子，第]X因子，第X因子などはGlaタン パク質であるため，これらの血液凝固因子の生成にはビタミンKが不可欠である.ヮルフアリンによって VKORが阻害されると，カルボキシル化された正常な 血液凝固因子の産生が阻害されるため，血液凝固能が 低下する.このためヮルフアリンは，脳や心臓血管で の血栓形成の抑制や手術後の血栓形成予防のために広 く利用されている.