漢方薬と実験動物（1）今後の漢方薬と実験動物が果たす役割とは何か？漢方薬への入門

摘要

明治以後の西洋文明-西洋医学偏重でしばらくの間冬の時代を過ごしていた漢方医学も，医系，薬系の先人達の努力によって昭和51年以降に本格的に医療用漢方エキス製剤が薬価基準に収載され保険診療で使えるようになり，不死鳥のごとく起ることとなった。 現在では，わが国においては，70％以上の医師が漢方製剤を処方しており，漢方医療（医学）は無くてはならない医療として広く普及している。さらに，平成14年度より各大学医学部-医科大学において漢方医学教育導入の実施が開始され，平成16年度においては，すでに，全国80の大学医学部-医科大学すべてにおいて漢方医学の講義が行なわれるようになった。 また，大学医学部付属病院における漢方外来の開設も増えつつあり，17年度には全国80大学中45大学の医学部付属病院に漢方外来が開設された。 このように漢方医（薬）学は伝統医学ではあるが，現代医療の中に本格的に定着してきている。 本稿においては，まだ漢方医学に接していない諸兄を対象に漢方医（薬）学はどうやって興り，どのように発展しどのようにして現代医療に受け入れられたかを概説し，さらに漢方の科学化と実験動物との関わり合いについて述べたい。