夏期と秋期におけるダイズ品種'フクユタカ'と'美里在来'の 栄養成長の土壌水分応答

摘要

ダイズは，現在.世界の約80か国で栽培されている.総 生産量は年間1億3030万tであり，そのうちの約87 %力5ァ メリ力合衆国.中国.ブラジル.アルゼンチンの4力国で生産 されている"日本では明治10年代から大正時代にかけて作付面積が40万ha,総生産量は年間40 ~ 50万tであつ た.しカゝし.平成8年には.作付面積が8万1800 ha,総生 産量は年間14万76001に減少した2 >.低生産量の原因の 一つに平均単位収量の低さがあり，世界平均が278kg/10 aなのに対し，日本はその6割にも満たなレ > 159 kg/10 aであ る".ダイズの子実生産性を向上させることは.我が国のダイ ズの総生産量を少しでも増加させる上で不可欠である.ダイズでは.莢内の子実の肥大初期に相当する子実肥大 始期3)の成長が子実生産に重要であることが分かっており， 開花期から子実肥大始期の成長速度と成熟期の子実収量と の間には正の相関関係がある4—8>.—方，開花期前の成長 量は必ずしも子実収量の増加には寄与しないことが指摘され ている9'.この原因の一つに倒伏があり，開花期前の栄養成 長が旺盛になると草丈が長くなつて倒伏し易くなる.そのた め，愛知県では倒伏を防止するために開花期前に成長点を 摘心して草丈を抑える栽培管理技術を推奨している"°.ダイ ズの栄養成長の仕組みを理解し育種学的手法や栽培管理 技術によって栄養成長量が過剰とならないように制御すること は，ダイズの多収化に向けて極めて重要である.