温暖化に伴う果樹栽培適地移動及び発生雑草の変化

摘要

気象庁が発表する「2003年の天候」によると，昨年の日本列島は異常な天候で推移したようである。 昨年末にはモチ米の値段が高騰したとの報道にも見られるように，多くの農作物に被害が出たことは記憶に新しい。 果樹もご多分に漏れず，生理障害の発生等，生産にも少なからず影響が及hだ厳しい年となった。 近年，地球規模の温暖化の進行に警鐘が鳴らされ，1997年の地球温暖化防止京都会議において「気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書（京都議定書）」の取りまとめに至る等，世界的な枠組みで温暖化防止の策が講じられようとしている。 当研究所生理機能部環境応答研究室が将来の果樹生産に及ぼす温暖化の影響予測をしたところ，このまま温暖化が進行するとの仮定の上ではあるが，60年後には我が国におけるミカン及びリンゴ生産の栽培適地が大きく北上するとの予測結果を得ている。 また，気候の温暖化はこれまで問題とされなかった病害虫の発生を誘発し，果樹栽培に深刻な影響を与えることが危供されている。