果実の成熟·品質の制御－カルシウム等による生理障害の防止（カンキッ）-

摘要

カンヰツ栽培においては，浮皮や水腐れのような生理障害の発生が，古くから問題となってきた。 近年，湿暖化等による気象変動は，このような生理障害の発生を叫層助長するのではないかと懸念さ打て、いる。このような状況の中，果樹研究所の杉浦ら（2004）は，温暖化が現時点で果樹生産にどのような影響を及ぼしているのかについて，全国規模のアンケート調査を実施し，温暖化の影響，内容及び対策を明らかにした。 その結果，温暖化の影響が現時点でみられないと回答した都道府県が.であったのに対し，温暖化の影響らしき現象（温暖化の影響と断定できない）が見られる，もしくは温暖化の影響が見られると回答した都道府県数は合わせて47となり，現時点でもすでに温暖化に起因すると推定される現象が，全国各地で発生していることを示唆した。 さらに，本調査は，カンキツに対する温暖化の影響として，ハウスミカンの花芽分化の遅延，着色不良，生理落果の助長等の他に，果実に発生する生理障害として，浮皮や水腐れ果の発生を指摘して－いる。