集団におけるエネルギー及び各栄養素の1曰間及び2日間平均値（短期間）と習慣的な摂取量の 分布の違い

摘要

【目的】集団におけるエネルギー及び各栄養素の摂取状態を短期間（1-2日間）の食事調査で評価することの問題の特徴を明らかに すること。【方法】平成23年度熊本県民健康、栄養調査で得られた18歳以上692名（男性303名.女性389名）の食事調査データを用いた。半秤量式 食事記録法により得られた非連続2曰間の栄養素等の摂取量データから，分布の正規化のための「べき数」及び個人内変動の調整のた めの「個人内/個人間分散比」を用いてBest-Power法により習慣的な摂取量の分布を推定し.短期間摂取量と分布の形状.歪度及 び標準偏差.並びに基準値未満の者の割合を比較した。【結果】1日間の歪度は.習慣的な摂取量に比べて男性は13栄養素等のうち10.女性は12で大きく.高値側に分布が歪hでいた。標準 偏差は.すべての栄養素等において短期間が習慣的な摂取量より大きく （1.16-7.75倍).分布の幅が広かった。短期間と習慣的な摂 取量の基準値未満の者の割合を比較すると.「個人内/個人間分散比」が大さいほど両者のずれ（過大評価又は過小評価）は大きく. 短期間摂取量が正規分布に近いと.50パーセンタイルの低値側と高値側で過大評価と過小評価が変化し.高値側に強く歪hだ分布では 70パーセンタイル付近で変化した。【結論】短期間の食事調査では.基準値未満の者の割合は.分布の形や「個人内/個人間分散比」の大きさに関連して.過大評価や過 小評価されることが示された。栄養学雑誌,Vol.73 No.4 119-132 (2015)