ヒツジへの給与飼料の相違右手より誘起される成長ホルモン、グレリンおよびインスリンの分泌動態およびその制御機構

摘要

反泰動物はその消化管構造が、単胃動物と大きく異なり、複胃を有している。その複胃、特に第一、二胃には微生物が多く共生しており、微生物の分解能力によって反泰動物が消化吸収できないセルロースやヘミセルロースを揮発性脂肪酸（VFA）に分解し、エネルギー基質としている。このエネルギー基質となるVFAは、摂取する飼料や栄養素によって発酵パターンが大きく変動するために、その濃度も変化することが分かっている。また、VFAは成長ホルモン（GH）分泌を抑制し、インスリン分泌を刺激することが報告されている。さらに、栄養素や生体のエネルギーバランスによってもGHを始めとする内分泌動態は影響を受けることが明らかとなっている。つまり、摂取する飼料中の栄養素の相違は、第一胃内の発酵や内分泌動態に著しく影響を与え、個体の成長や生産性を把握する上で重要な手掛かりとなる。