アサガオに放きを温ねて新しきを知る

摘要

奈良時代に中国から薬草として渡来したアサガオは，直径25cmにも及ぶ大輪アサガオや，とてもアサガオには見えない変化アサガオなど，日本独自の園芸植物としての発達を遂げた．また，生物学における研究材料としても，遺伝学や植物生理学に関する研究に盛hに用いられてきた．江戸時代後期に起こった突然変異体の多くは筆者の研究室で保存されており，それらの原因遺伝子の多くに特殊な構造のトランスポゾン（動く遺伝子）が挿入していることが明らかになってきた．さらに，このトランスポゾンの挿入を利用して，形態形成に関する遺伝子等をクローニングすることが可能になってきた．アサガオの研究環境も，連鎖地図の整備，ESTデータベースの構築や，形質転換法の確立など，徐々に整備されつつあり，今後の研究の展開が期待されている．