3Dプリンターでミクロの世界を立体化——先端技術を科学教育に活かす

摘要

細胞や微生物など，目に見えないミクロの世界を光学顕微鏡で拡大するだけでなく，共焦点レーザー顕微鏡という光学顕微鏡で取得された正確なデ一タを3Dプリンタ一で立体化し，実物に最も近い物を手で触れるようにできる時代 がやってきた。この論文では，科学教育に活かせる3Dプリンタ一の技術を紹介する。研究の進歩にともなって生命科学に対する知識がどhど h進化し複雑になっていくと同時に，取得されるデータの 精度もあがっている。一方で，それを可視化することによ り，生命への理解を一層深めることができるのではないだ ろうカゝ。画面や資料での立体感の伝えづらさについては， 誰でも悩hだことがあるだろう。近年，生命科学研究や医 療関連で三次元のデータを取得することができるようになっており，たとえば病院でCTスキャンをすれば，手術 を受けずに内臓の構造からその動きまでコンピューターで 確認できる。そのようなデータを3Dプリンターで出力し て医学部の授業で学生に見せたり，患者さhに自分の内臓 や腫瘍を見せたりしながら治療法を説明することも可能に なった'>。立体化したものを触りながらいろいろな角度か ら観察するほう力;'，ただ画面で見るよりは「物」としての 存在を実感できると考えられる。