味覚系の基本回路: モデル魚類から哺乳類へ

摘要

ヒトをはじめとする哺乳類の味覚系 には，さまざまな化学物質が味刺激と して入力される。これらは少糖，無機 塩，無機酸，有機酸，核酸，アミノ酸， テルぺノィド，アル力ロイド，ぺプチ ド，タンパク質など多様である。しか し，哺乳類が認知しうる味の質〔味質(taste modality, taste quality)]に しては，5基本味である甘味，旨味， 苦味，酸味，塩味に代表されるように， 比較的単純な情報に集約されている。 この情報集約を行うメカニズムの一つ として，味覚系の末梢，すなわち味蕾 細胞に発現する各種の味覚レセプター が重要な役割を果たしていることが最 近明らかになつてきた。