受容体の新発見: 酸味と塩味

摘要

口腔内に取り込まれた食物は，「味蕾」 と呼ばれる組織で感知される。1個の味蕾は約50-100個の細胞から成り， 古くから電子顕微鏡観察による細胞形 態と細胞内微細構造に基づいて，紡錘 形をしたI型細胞，II型細胞，III型細 胞と基底部に存在する丸型のIV型細胞に分類されている。味蕾が存在する部 位を「乳頭」といい，舌の前半部に散 在する「茸状乳頭」，舌後方側部の「葉 状乳頭」，舌後方中央部にマウスは1個，ヒトでは10個程度存在する「有郭乳頭」がある。味蕾は舌の上以外に， 軟口蓋や咽頭，喉頭などにも散在して いる。味蕾で感知された味覚情報は， 神経伝達物質の放出によって，味細胞に投射している味神経に伝えられる。 茸状乳頭は鼓索神経，葉状乳頭は鼓索 神経と舌咽神経，有郭乳頭は舌咽神経 がそれぞれ投射している（図1)。