ホルスタイン種経産牛における 性選別精液の人工授精適期の検討

摘要

国内における牛性選別精液の販売開始から10年以上が経過し（浜野）、国内外を問わず対応する種雄牛も増えている。銘柄によっては未 だに入手に時間がかかることや通常精液と比 して価格が高い等のデメリットがあるとは言え、特に乳牛では9割近い確率で望む性別の産子 を得られることによるメリットは計り知れない。これまで、選別精液は選別処理の過程で受 けるダメージやストロー 当たりの封入精子数が 少ないことから（Blondinら）、非選別の通常精 液と比して経産'未経産を問わず受胎率の低 下は必定とされ、供給元も未経産牛への授精を 推奨している。また、SNP解析によるゲノミック評 価の普及により、遺伝的能力評価の高い未経 産牛から産子を得ることで、より改良速度を高め る機運も高まっている。しかし、ゲノミック評価や 推定育種価はパッとしないが'、搾ってみたら高 成績という個体も少なからずいるのも事実で、 個々の酪農家の飼養管理に適した個体からの 後継牛作出の要望は根強く、経産牛における 選別精液の受胎率を高めることが強く求められ ている。そこで本試験では、ホルスタイン種経産 牛における雌性選別精液（選別精液）の受胎 率向上を目的として、定時授精における授精適 期の検討を行った。なお、本稿は8県が参画す る雌雄産み分け共同試験グループCでの取り組みのうち、栃木県における実施分を集計した ものである。