MAP結晶化法による有限資源であるリンの豚舎汚水からの除去回収技術

摘要

リンは石油などと同様，枯渇が懸念される有限資源である。 わが国には採掘可能なリン資源は存在せず必要とするリン鉱石のほぼ全量を輸入に依存しているため，リンを含有する汚水や廃棄物からのリン資源の回収に関する研究開発が精力的に行われている。 近年，わが国へのリン鉱石の最大の輸出国で1990年代前半ではわが国の輸入量の半分近くを占めていた米国が1995年に自国のリン鉱石の輸出を禁止したことにより，中国からの輸入量が増加傾向にあるとはいえ，リン鉱石の総輸入量は減少傾向にある。 リン鉱石以外に化学肥料や食料、飼料などの形で輸入されるリンもあるため直ちにリン不足が顕在化するとは思われないが，急速な経済発展を遂げる中国におけるリン消費量の増大に伴いリンの価格が高騰しつつあることから，リン資源確保のため汚水や廃棄物からのリン再資源化の動きは今後さらに強まるものと思われる。