畜産学における研究対象動物の拡がり

摘要

以前，ある会合で，ニヮトリの日々の放卵時間を 基準として，ある物質の経時的動態を追究する話題 が提供された。その際，目標物質の動態とニヮトリ の放卵行動との関連についての質問に対し，発表者 は「放卵時刻は自動記録装置に拠っているので， 自分は放卵やその行動を実際に見ていない」と答えた。 物質測定の技術に優れていても，研究対象動物その ものに関心を持たない研究者が出現したことに 驚きを感じたことが忘れられない。動物，とりわけ 自身の研究対象動物に興味を有し観察し続ける ことは畜産学徒にとつて大切なことである。自ら 動物に接することにより，次の研究課題の発想が 生まれてくる可能性は極めて大きいものがある。