20年来のカリキュラム改訂は畜産学教育に何をもたらしたか: 平成23年度畜産学教育協議会シンポジウムの概要

摘要

わが国の大学教育は，1991年の「大学設置基準の 大綱化」並びに2004年の「国立大学法人法」の成 立を受けて，大きく変化した。前者の省令改正では， 「個々の大学が，特色ある教育研究を展開し得るよ う制度の弾力化を図り，併せて，大学の水準の維持 向上のため自己点検、評価の実施を期待するもの」 と明記され，後者の法律では「大学の教育研究実績 を第三者機関により評価 チェック」と明記された。 これらにより，畜産学教育では，畜産業に近い伝統 的な畜産科目（畜産技術学)である草地学，家畜飼養 学，家畜管理学などは，環境科学や生命科学の科目 に取って代わられた。しかし，環境科学や生命科学 は，その成熟とともに農学から独立し，独自の道を 歩み始めている。近年，国家試験をパスしなければ ならないという至上命題を持つ専門職大学院や獣 医学 薬学、医学の専門職教育ではもとより，リベラルアーツ教育ともいえる文学教育などにおいて も，カリキュラムの全国統一化であるコア'カリ キュラム研究という原点の見直しが始まってVヽる。: 日本の農学教育は,横井時敬の「農学栄えて農業 減ぶ」を引用するまでもなぐ，明治の当初より専門 職教育ではなく，農学的リ^^ルでーッ教育であり た。